column 株式の期待リターンとは?将来を見通せないなかで考える長期積立投資の意義

近年、「株式の期待リターンは過去より低下している」といった見解を耳にする機会が増えています。そのため、「今後も積立投資を続ける意味はあるのだろうか」と疑問を抱く方もいるかもしれません。
 

株式投資における期待リターンとは、将来どの程度の収益率が見込まれるかを予測したものです。一般的には、株式市場のバリュエーションや過去の平均リターンなどをもとに推計されます。足元では、バリュエーション水準の上昇や金利環境の変化などを背景に、将来の期待リターンの低下を懸念する見方もあります。
 

では、長期的な資産形成という観点から、このような見方をどのように捉えればよいのでしょうか。
 

本コラムでは、積立投資を前提に、期待リターンだけでは投資成果を説明できない理由を確認しながら、長期積立投資の意義について解説します。

 

期待リターンだけで積立投資の成果は決まらない
 

積立投資は、平均的なリターンの水準だけでなく、リターンがどのような順序で実現するかによっても、最終的な投資成果が変わります。
 

毎年初に100万円を10年間積み立てた場合を例に考えてみましょう。

 

  • パターンA
    毎年5%のリターンが得られた場合(平均リターン5%)
  • パターンB
    1%のリターンで5年間経過したのちに、後半5年間で7%のリターンとなった場合(平均リターン4%)

パターンAとパターンBを比較すると、平均リターンはパターンAのほうが高いにもかかわらず、最終的な資産額はパターンBのほうが大きくなります。

what are expected stocks chart

出所:キャピタル・グループ

この例から、平均リターンが高ければ最終的な資産額も大きくなるとは限らないことがわかります。期待リターンという単一の指標だけで積立投資の成果を判断することは難しいといえるでしょう。

 

期待リターンは将来を保証するものではない
 

期待リターンは、資産運用を考えるうえで参考となる指標のひとつです。しかし、期待リターンどおりの運用成果を保証するものではありません。

期待リターンは、将来得られると見込まれるリターンを予測したものですが、実際のリターンとは異なります。現実の市場では、好調な年もあれば大きく下落する年もあるなど、その動きは不規則です。 

また、将来の期待リターンを正確に予測することも困難です。株式市場は、景気動向や企業業績、金利政策、物価上昇など、さまざまな要因の影響を受けて変動します。

こうした点を踏まえると、「期待リターンが下がったから投資すべきではない」とする見方は、やや短絡的であるといえるでしょう。

 

長期的な資産形成では投資を継続できる仕組みが重要
 

重要なのは、期待リターンが上がったか下がったかという議論よりも、株式のように将来の成長が期待できる資産に、投資を継続できるかどうかという点です。

 

長期積立投資は投資時期を分散できる
 

積立投資は、一定額を定期的に投資することで、投資時期を分散できます。市場の動向に応じて投資する時期をその都度判断することなく、投資を継続できることが特徴です。

長期的な資産形成では「今後の期待リターンが何%になるのか」「いつ投資すべきか」といったことを予測するよりも、投資を継続できる仕組みを持つことが重要です。

 

投資家がコントロールできることに目を向ける
 

将来の株価や市場リターンの見通しは市場環境によって変化するため、投資家自身がコントロールすることはできません。一方で、毎月の積立額や投資期間、資産配分などは、自分で決めることができます。

 

長期的な資産形成で重要なのは、市場の動向に一喜一憂することではなく、自分でコントロールできることに意識を向けることです。期待リターンは重要な指標ですが、将来の成果を保証するものではありません。大切なのは市場を予測することではなく、投資を続けることです。積立投資は、そのための有効な手段の一つといえるでしょう。