「夜明け前が一番暗い」。シェイクスピアの『マクベス』に由来するこの言葉は、長い歴史の中で多くの人々に引用されてきました。夜を困難、夜明けを明るい未来に例えたこの表現は、物事が好転する直前にこそ最も苦しさが増すという、人間の心情を見事に捉えています。
興味深いことに、この原理は株式市場にも驚くほどよく当てはまります。市場が大きく調整し、不安と悲観がピークに達した直後に、強烈な上昇局面が訪れることが多いことが知られています。投資家にとって辛い時期こそが、実は次の上昇の“夜明け前”であることは過去に何度も確認されています。
たとえば、過去20年間の全世界株式市場を振り返ると、上昇率トップ10の日の多くが、同じ年、あるいは同じ月の大幅下落直後に発生していることが分かっています。2008年のリーマン・ショックや、2020年のパンデミック初期がその典型例で、株価が暴落する局面で大幅な上昇を記録するケースが多く見られました。
さらに重要なのは、こうした上昇局面を逃した場合のインパクトです。もし投資家が恐怖からマーケットを離れ、上昇率トップ10日間を保有していなかったとしたら、20年間の長期投資であっても、最終リターンが半分以下に落ち込む可能性があることが示されています。