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投資判断を狂わせる心理的バイアスとその克服法

銘柄選びから投資タイミングまで、投資は「意思決定」の連続です。しかし、行動経済学の研究によれば、人は必ずしも合理的に行動せず、意思決定に際して特有の心理的傾向(バイアス)に基づいて判断を下すことが明らかになっています。


こうした心理的バイアスには、例として損失回避バイアス、自信過剰バイアス、確証バイアスなどがあります。損失を避けたい、自分の考えは絶対に合っている、自分の考えを裏付ける情報だけを集めてしまうなどの心理的傾向は、損切りのタイミングを逃したり、誤った投資判断をしたりするなど投資家を非合理的な意思決定に導きます。


代表的なバイアスと投資への影響 

損失回避バイアス

人は利益の喜びよりも損失の痛みを 強く感じます。そのため、含み損を抱えた銘柄を損切りできず、「塩漬け」状態に陥ることがあります。

自信過剰バイアス

自分の判断や知識を過大評価する傾向で、過剰なリスクを取る原因になります。

確証バイアス

自分の考えを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視する傾向です。特定銘柄に固執し、リスクを過小評価する原因になります。



感情に振り回されると、投資で客観的かつ合理的な判断を下すことは困難です。どうすればこうした心理の罠を回避できるでしょうか?


心理の罠を克服する3つのポイント

まず、投資目的を明確にすることです。老後資金や教育資金など、「なぜ投資するのか?」という目的を明確化することで判断の軸が定まります。

次に、長期的な視点を持つことです。日々の相場変動に惑わされるのではなく、10年、20年先のゴールを意識することで、日々の感情の変化に振り回されるリスクを減らせます。

最後に、感情を排除する仕組みを取り入れることです。例えば、毎月の積立額を固定し、自動引き落としに設定することで、相場の上下に応じて判断を変える必要がなくなります。仕組み化によって、心理的バイアスに左右されない投資行動を実現できるのです。


効果的な対策長期積立投資

結局のところ、心理的バイアスの影響を最小化するシンプルで効果的な方法は、長期の積立投資です。明確な投資目的に基づいて、一定額をコツコツと長期的に積み立てることで、相場の上下に惑わされず時間を味方につけることができます。「投資判断は客観的かつ冷静であるべき」――これは至極当然ですが、実現は容易ではありません。だからこそ、心理の罠を排除する仕組み=積立投資が、資産形成をサポートする強力な武器になるのです。


 



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