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あなたのファンド、20年後に存在していますか?

資産形成の手段として、長期投資を選ぶ人は少なくありません。時間と複利の力を活かし、コツコツと積み上げていくことで、将来の経済的な安心につなげたい。そんな考え方に共感する方も多いのではないでしょうか。


ただし、長期投資を前提とするならば、ひとつ確認しておきたいことがあります。それは、投資対象となるファンドが、長期にわたって存在し続けるのかという点です。


ファンドはさまざまな理由で償還されることがあります。運用成績の不振、資金流出、運用会社の方針転換などが挙げられますが、その他にもアクティブ運用においては「スターマネジャー制」の影響も考えられます。優秀なポートフォリオ・マネジャーが引退した途端に成績が悪化し、ファンドが終了してしまう。そんなケースも実際に見られます。これは、長期投資を志すうえで見落とされがちなリスクかもしれません。


このように持続的な運用体制や実績を実現できないファンドは、早期に償還してしまうことがあります。実際、過去償還された米国籍のアクティブ株式ファンド約5,700本を対象に、償還までの年数を調べたところ、5年以内に償還されたファンドがそのうち約4割、10年以内が約7割、20年以内が約9割を占めることが分かりました。
 


過去に償還された米国籍アクティブファンドの償還までの設定来年数と累積償還率

obsolete fund

2024年12月31日時点。過去償還された米国籍アクティブ株式ファンドが対象。
出所:Morningstarのデータをもとにキャピタル・グループが作成

一方で、長期にわたって優れた運用を継続しているファンドも存在します。例えば、キャピタル・グループのキャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICAは90年以上の歴史を持ちます。「マルチマネジャー制」に基づいて複数のポートフォリオ・マネジャーが一つの戦略に参画し、世代交代を前提とした長期的な運用体制を構築することで、個人ではなく組織としての知見と投資哲学が継承されています。


長期投資を成功させるには、投資対象の「中身」だけでなく、「器」の持続性にも目を向けることが大切です。どんなに優れたファンドでも、途中で償還されてしまえば、複利の力を最大限に活かすことはできません。優れたリターンを出すアクティブファンドは多く存在しますが、それを持続可能な形で実現できているファンドは限られます。


「このファンドは、20年後も存在しているだろうか?」そんな問いを一度立ち止まって考えてみることは、長期投資をより確かなものにするための一歩になるかもしれません。ファンドの継続性に目を向けることで、より安心して未来を託せる選択につながるはずです。



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