日本版スチュワードシップ・コードの受入れ

スチュワードシップ責任に対する当社方針

キャピタル・インターナショナル株式会社は、キャピタル・グループの日本法人として設立された運用会社として、2014年2月に金融庁の主導により導入され、2017年5月、2020年3月および2025年6月に改訂された日本版スチュワードシップ・コードの趣旨に賛同しています。

キャピタル・グループでは、グローバルな視点からの企業リサーチと投資活動を行っています。本コードは日本の上場株式に適用されるものではありますが、本コードに盛り込まれているテーマは、日本のみならず他の市場における我々の投資アプローチにも沿ったものとなっているため、グループ共通のポリシーとして我々の考え方を以下の通り公表致します。

原則1:「機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。」


キャピタル・グループのミッションは「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」ことです。当社の成功の核心には、独自の投資アプローチであるキャピタル・システムがあります。このシステムは、当社の投資哲学と文化に深く根付いた三つの柱に支えられています。資産クラスを問わず、私たちは複合的なリサーチによってより深い洞察を得ること、複数のポートフォリオ・マネジャーやアナリストによる多様な視点を取り入れること、そして長期的な視野で意思決定を行うことを重視しています。

当社のアナリストは、経営体制、財務の健全性、製品やサービス、サプライチェーン、資源の利用、事業慣行、将来の収益予測など、さまざまな観点から評価を行います。彼らは、ポートフォリオ・マネジャー、アナリスト、エコノミスト、クオンツリサーチ、ESGチームとの密接な連携を通じて、深い分析に基づき投資機会を特定します。この協働的なプロセスが、より深い洞察と優れた成果を生み出すと信じています。

私たちは、投資リサーチの一環として、重要な環境・社会・ガバナンス(ESG)課題を分析し、長期的なリスクと機会をよりよく理解するよう努めています。ESG課題は、数年から数十年にわたり投資価値に影響を与える可能性があり、これは当社の長期的な志向と自然に一致しています。

企業や発行体との個別かつ実践的なエンゲージメントは、当社の投資プロセスにおいて重要な役割を果たしています。重要な課題についてエンゲージメントを行うことで、投資に対する潜在的なリスクをよりよく理解し、探ることができます。可能な限り現地で経営陣と対話し、現場を訪れることで、運営状況の理解が深まり、より適切な投資判断が可能となります。

当社の組織としての指針は、常に顧客の長期的な利益を最優先に行動することです。運用担当者主導の議決権行使プロセスを採用しており、三つの独立した株式運用部門が、それぞれ顧客の財務的利益のみに基づいて独立して議決権行使の判断を行います。このプロセスは、複数の意思決定者による幅広い知見を活かし、特定の議決権行使課題に対して最善の判断を導くことを目的としています。

原則2:「機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、それを公表するべきである。」

倫理規範(コード・オブ・エシックス)

キャピタル・グループには、倫理規範(個人の行動基準を含む)があり、従業員が誠実さ、正直さ、信頼の模範となる基準を守ることを目的としています。これにより、当社自身の利益が顧客の利益より優先されることがないようにしています。倫理規範の主な内容は以下の通りです。

  • 企業の取締役職や外部事業への関与・提携
  • 個人口座取引(従業員のIPO参加を含む)
  • 贈答品や接待の受領・提供
  • 非公開情報の保護による市場操作やインサイダー取引の防止
  • ブローカーとの取引における特別待遇や便宜の禁止

 

これらの原則を支える主要なポリシーには、インサイダー取引の禁止、個人取引の制限、政治献金、ビジネス関連の贈答品・接待の制限などがあります。また、個人やその他の利害関係の開示を義務付ける規則もあり、これにより従業員が議決権行使の判断から除外される場合があります。倫理規範は、全従業員が四半期ごとに確認・承認しています。

キャピタル・グループは、議決権行使における利益相反管理の方針を、議決権行使原則を通じて公表しています。利益相反が認識された場合のプロセスは以下の通りです。

利益相反およびスペシャル・レビュー・コミッティ

キャピタル・グループが運用する各種ファンドや口座が、以下のような関係者(「利害関係者」)に関する議決権行使を行う場合があります。

  • キャピタル・グループが多額の資産を運用する顧客
  • キャピタル・グループの重要な取引先
  • キャピタル・グループの米国登録ファンドの役員が取締役を兼務している企業

 

その他、事実や状況により利害関係者とみなされる場合もあります。キャピタル・グループは、こうした関係によって議決権行使が影響を受ける可能性がある場合に備え、対応手順を策定しています。各株式投資部門には、株式部門および法務部門のシニアな担当者からなるスペシャル・レビュー・コミッティ(SRC)が設置され、利益相反の可能性がある事案を監督しています。

利益相反の可能性が認識された場合、SRCは適切な対応を行います。対応には、独立した第三者による議決権の審査や、キャピタル・グループの議決権行使原則に基づく独立した議案判断の推奨取得などが含まれます。原則として第三者の推奨に従いますが、受託者責任に反すると判断した場合は例外となります。時間的制約や運用上の理由で第三者審査が困難な場合は、SRCが関係者とのやり取りや関係性などの情報をもとに審査を行い、適切な対応を取ります。

原則3:「機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。」

キャピタル・グループは、投資リサーチの一環として重要な環境・社会・ガバナンス(ESG)課題を分析し、長期的なリスクと機会をよりよく理解するよう努めています。アナリストとポートフォリオ・マネジャーは、キャピタル・システムに根ざした複合的なリサーチ、多様な視点、長期的な視野という三つの柱をもとに、ESGを投資アプローチに組み込んでいます。

ESGインテグレーションは、リサーチとインベストメント・フレームワーク、モニタリング・プロセス、エンゲージメントと議決権行使の三つの要素で構成されています。株式・債券アナリストはESGチームと連携し、25超のセクターと3つの証券化セクターにわたる独自のESGインベストメント・フレームワークを開発しています。各フレームワークは、運用担当者が投資仮説に影響を与える可能性のある重要な長期的ESG課題を特定するためのものです。フレームワークは定期的に見直され、ESGチームが運用担当者と協力して新たな課題や進化するトピックを反映しています。ESGリサーチとインベストメント・フレームワークは、モニタリング、エンゲージメントと議決権行使によっても支えられています。

当社は、第三者提供データを活用し、企業株式、社債、国債の保有銘柄をモニタリングし、重要なESGリスクや国際規範違反の可能性がある発行体を特定しています。独自のモニタリング手法と基準を用いて、市場の見解と当社の分析・投資判断が異なる場合を特定します。基準を満たさない発行体は、運用担当者による追加分析の対象となります。当社の見解は、長期的な視点、エンゲージメント、詳細な分析に基づいており、モニタリング結果だけで判断することはありません。

原則4:「機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業との課題の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。」


当社は、企業との個別かつ実践的なエンゲージメントが投資プロセスにおいて重要な役割を果たすと考えています。経営陣や非執行役員と重要課題について対話することで、投資に対する潜在的なリスクをよりよく理解し、探ることができます。経営陣の戦略や主要課題への姿勢、監督体制についても理解を深めます。企業の長期的な収益力に影響を与えると考えられる事項について、情報開示を促すためにエンゲージメントを行う場合もあります。また、各セクターで見受けられた効果的な経営慣行の事例を共有し、ファンドの価値保護・向上に寄与することを目指します。原則として、企業とのエンゲージメントは非公開で直接行います。これが、企業や発行体が重要なESGリスク・機会をどのように管理しているかを理解する上で、より効果的かつ建設的なアプローチであると考えています。投資先企業との定期的な対話の一環として保有状況をご説明することが、建設的なエンゲージメントに寄与するものと考えています。

当社は、発行体とのESGエンゲージメントの目的や議題を記録する独自のツールを運用しています。これらの記録は、今後のエンゲージメントや企業の取組みの進展を確認するために活用されています。

資産運用会社としての受託者責任および責任ある機関投資家として、企業のコーポレート・ガバナンス課題について定期的に対話し、議決権行使を通じて顧客の財務的利益のために投資先企業に働きかけています。企業には、事業にとって重要なステークホルダー(従業員、サプライヤー、顧客、規制当局、政策担当者、地域社会など)との建設的な関係の重要性を認識することを期待しています。ステークホルダーとの関係が企業の評判に与える影響を理解している企業は、長期的な価値創造に優れています。取締役会には、トップとしての姿勢を示し、効果的かつ独立した監督を行うことを期待しています。議決権行使に関する当社の見解は、議決権行使原則および本方針の原則5・6で詳細に説明しています。

キャピタル・グループは、投資家全体の持続的成長のため、他の資産運用会社と協働して投資家向けの制度全般の改善に取り組むことが有益であると考えています。業界関係者や政策担当者とも定期的に対話し、健全な市場の発展に貢献しています。これには、各種協会を通じた意見提出や調査回答、規制当局との面談などが含まれます。また、グローバル・地域の各種協会に参加し、業界全体のベストプラクティスの共有にも努めています。国際会計基準審議会(IASB)や英国財務報告評議会(FRC)などの基準策定機関とも対話し、会計の透明性向上に貢献しています。

原則5:「機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫されるべきである。」

キャピタル・グループは、投資先企業に対する議決権行使が投資家への責任を果たす上で不可欠であると考えています。当社の議決権行使プロセスは、運用担当者が深く関与することで、より強力なものとなっています。三つの独立した株式運用部門が、それぞれ顧客の財務的利益のみに基づいて独立して議決権行使の判断を行います。

議決権分析は、ガバナンスの専任担当者が、運用担当者主導で策定した議決権行使原則に従って実施します。議決権行使原則は、グローバルに適用可能なガバナンス原則と、各地域(アメリカ、ヨーロッパ、中東・アフリカ、アジア太平洋)の市場規制に合わせた詳細な議決権行使ガイドラインを組み合わせたものです。また、議決権リサーチプロセスの一環として、企業ごとの分析も行います。リサーチが完了した後は、グループ内の企業に詳しいアナリストと情報を共有し、推奨をまとめます。意見が分かれる場合は、コーポレート・ガバナンスおよび議決権行使に深い経験のある運用担当者がプロクシー・コーディネーターとして追加的な推奨を提供します。

各株式運用部門の議決権行使委員会が、運用部門ごとの議決権行使判断の最終権限を持っています。議決権行使委員会は、各運用部門の投資委員会のサブコミッティーであり、運用部門内の議決権行使活動を監督します。議決権行使原則は、各運用部門の全ての投資委員会で承認されています。

十分な時間と情報が得られない場合に、米国外の企業において議決権を行使できないことがまれにありますが、各国の市場慣行、規制、法令、提案内容をよく考慮して議決権行使を行います。議決権や総会の議案の情報開示が不十分な場合は、情報開示の改善を促すため、原則として反対票を投じます。議決権行使が顧客にコスト(機会損失を含む)をもたらす場合は、議決権を行使しないこともあります。例えば、規制当局から投資制限の緩和を受ける際、議決権行使に上限が設けられる場合は、運用資産に応じて全ファンド・口座で議決権を按分します。また、国によっては議決権を行使することによって一定期間株式売却が制限される場合があり、流動性の観点から議決権行使を控えることもあります。さらに、貸株の議決権行使については、コストが利益を上回る場合や議決権行使が投資に大きな影響を与えない場合は、貸株を回収せず議決権を行使しないこともあります。顧客主導の貸株プログラムにおける貸株分については、議決権行使の対象外となります。

原則6:「機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に定期的に報告を行うべきである。」


当社は、当社が運用を受託するポートフォリオの全投資先企業について、議決権行使結果(議案ごとの概要・個別行使結果、株主提案を含む重要な議案の賛否理由)を四半期ごとに開示し、当社のウェブサイトで公表しています。また、日本市場における議決権行使ガイドライン(補助原則)もウェブサイトで開示しています。

原則7:「機関投資家は投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。」


投資哲学

キャピタル・グループは1931年の創業以来、「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」ことに尽力してきました。このミッションへのコミットメントは、投資家や金融仲介業者との間に、信頼・誠実・優れたサービス・投資成果に基づく長期的な関係を築いてきました。当社の投資アプローチであるキャピタル・システムは、顧客の資産の適切な管理に本質的に貢献する三つの柱に根ざしています。

  • 複合的なリサーチ
    深い分析と、ポートフォリオ・マネジャー、アナリスト、エコノミスト、クオンツリサーチ、ESGチームとの密接な連携によって投資機会を特定します。重要なリスクと機会の分析は、発行体の長期的な価値創造力を評価する上で不可欠です。
  • 多様な視点
    複数の運用担当者の最良のアイデアを活用することで、市場サイクルを通じてより安定した成果を追求します。各ポートフォリオには、異なるが補完的なスタイル・視点・経験を持つマネジャーのチームを構築します。ポートフォリオは一人のスター・マネジャーではなく、多くの運用担当者の最良の考えを反映しています。各マネジャーのアプローチは、市場環境ごとに異なる成果をもたらすことが期待され、ポートフォリオにさらなる分散効果を加えます。リスクは独立して監視され、意図的かつ適切な規模で管理されます。定性的・定量的な基準や過去の実績も分析し、様々な市場環境下で成果がどのように生まれたかを理解します。
  • 長期的な視野
    運用担当者には短期的な思考を避けるよう促しています。長期的な視野で投資することで、投資家の長期的な利益と当社の目標が一致し、意思決定の原動力となります。当社の文化や報酬体系もこの長期志向を強化しており、長期の評価期間を設けることで、十分に調査された高い確信を持つ投資が成果を上げる時間を確保しています。

 

経営陣とのエンゲージメントや現地訪問は、運営状況の理解を深め、投資判断を支えるものです。個別のエンゲージメントでは、顧客の長期的な成果にとって重要な課題の理解と探求に重点を置いています。最終的には、投資の長期的価値に大きな影響を与える可能性がある課題を探求します。

リソース(2024年12月末時点)

キャピタル・グループは、組織内で効果的なスチュワードシップを実現するための強固なガバナンス体制を整えています。ESGリソースの構成は、当社のESGインテグレーションのアプローチを反映しており、以下のチームが含まれます。

  • インベストメント・グループ
    120名以上のポートフォリオ・マネジャーと220名の社内アナリストが、重要なESG要素を投資判断に組み込み、長期的な価値創造を目指しています。ファンダメンタルリサーチの一環として、ESG関連やその他の課題が企業の長期的な収益力に与える影響を評価します。意思決定は、個々の発行体の長期的な見通しと、その企業が属する市場・業界・地域の状況を総合的に考慮して行います。
  • ESGチーム
    キャピタル・グループには、グローバルESG責任者とESGリーダーシップチームが率いる40名超の専任ESGチームがあります。運用担当者と連携し、ESG要素の投資プロセスへの統合を推進しています。チームメンバーは、リサーチ・知見の提供、発行体エンゲージメント、議決権行使、ESG規制、ESGデータ・レポーティングなどの分野で経験を有しています。

 

グローバルESGチーム内の専任担当者は、それぞれ異なる役割・専門分野を持ち、インベストメント・グループと連携して以下を担っています。

  • 重要なESGテーマや課題に関するテーマ別・セクター別リサーチの作成
  • 投資家と連携した議決権分析やエンゲージメントなどのスチュワードシップ活動の実行
  • データツールを用いた重要なESGリスク・機会のエビデンスベース分析

 

さらに、ESGモニタリング・プロセス、ESGデータ・オペレーション、顧客・商品・業界・規制対応、ESGコンテンツ開発・ソート・リーダーシップ(知見の発信)などを担当する専任担当者を擁しています。

自己評価 (2025年) (PDF)

自己評価 (2024年) (PDF)

自己評価 (2023年) (PDF)

自己評価 (2022年) (PDF)

自己評価 (2021年) (PDF)

自己評価 (2020年) (PDF)

自己評価 (2019年) (PDF)