リーマン・ショック後に積立投資を開始したケースでは、開始時期が1年9ヵ月遅かったことから、総投資額は20万円少なくなっています。それを加味しても金融危機前の最高値圏から投資を始めたケースのほうが、高いリターンとなりました。
2007年6月から2009年2月にかけて、全世界株式指数は円建てで約6割下落しています。直感的には、「金融危機後まで待ったほうが賢明だった」と考えたくなる局面ですが、結果として金融危機前から積立を続けたほうが大きな成果につながりました。
高値スタートが底値スタートを上回った理由は「時間」
なぜこのような結果になったのでしょうか。
理由は、高値圏かどうかにかかわらず積立投資を早く始めたことで、その分だけ長く市場に参加できたためです。
金融危機前に投資を開始した場合、初期の投資は下落によって資産評価額が一時的に減少しました。しかし、その後も投資を継続したことで、安値で多くの口数を積み上げられ、その後の回復局面で複利効果が発揮されました。
このデータは、「いつファンドを始めるか」よりも「どれだけ早く、長く市場に参加するか」が重要であることを示しています。
高値圏からの積立投資で、知っておきたい2つのこと
データでは、高値圏で積立投資を始めたケースでも、長期で継続することで成果につながったことが示されています。
とはいえ、実際に始めてみると、その後の相場下落に不安を感じる場面もあるでしょう。その際に役立つ、積立投資で知っておきたい考え方を2つご紹介します。
下落局面では、同じ金額で多くの口数を購入できる
積立投資では、毎月一定の金額を投資するため、価格が高いときには少ない口数を、価格が低いときには多くの口数を購入することになります。これがドルコスト平均法の考え方です。
例えば、毎月1万円を積み立てる場合、基準価額が1,000円のときは10口、500円まで下がれば20口を購入できます。このように一定額の積立を続けることで、価格に応じて購入する口数が自動的に調整されます。
下落局面では、一時的に資産の評価額が下がることがあります。しかしその一方で、より多くの口数を購入できるため、その後の回復局面では、投資成果の向上につながる可能性があります。
そのため、相場の下落を理由に投資方針を変えるのではなく、あらかじめ決めた金額で積立投資を継続する仕組みを持つことが重要です。
投資で成功するために必要なことは「タイミング」ではなく「タイム(時間)」
仮に投資を開始したタイミングが完璧でなくても、投資を続けることで、より長く市場に参加でき、長期的な成長の恩恵を受けやすくなります。
冒頭のデータが示すとおり、最高値圏から投資を始めた場合でも、積立投資を継続することで長期的にはリターンを得られる可能性があります。
長期積立投資で重要なのは、最適な「タイミング」を見極めることではなく、投資に充てる「タイム(時間)」を長く確保することです。
相場の動きを予測して売買を繰り返すのではなく、積立・分散などを活用しながら、長期にわたって投資を継続することが大切です。
まとめ:今日始めることが複利を最大化する第一歩
「高値圏で買ってしまったかもしれない」という不安は、多くの投資家が一度は抱くのではないでしょうか。
しかし、今回紹介したデータが示すように、最高値圏から投資信託への積立投資を始めたケースでも、底値を待ち続けたケースを上回ることがあります。
投資の成果を決めるのは、投資をするタイミングではなく、どれだけ長く投資を続けられるかです。
市場の将来を正確に予測することは誰にもできません。だからこそ、長期積立投資では「始めること」と「続けること」を重視する考え方が有効です。
たとえ投資を始めたタイミングが相場サイクルのピークだったとしても、長期的に見ればそれは失敗ではなく、複利を最大化するための「大切な第一歩」となるかもしれません。