column 債券投資の魅力はインカムゲインの積み上げ|長期運用で活かせるメリット

債券は株式とは異なる値動きや収益特性を持ち、資産形成において一定の役割を担う資産クラスのひとつです。

 

しかし、その役割を問われると少し曖昧な方も多いのではないでしょうか。

 

本コラムでは、債券のリターンの源泉を整理しながら、長期運用における債券の役割について考えます。

 

債券投資で「インカムゲイン」が重要な理由
 

債券投資の収益源は、大きく「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つに分けられます。

インカムゲインは債券の保有中に受け取る利息、キャピタルゲインは債券の売却や償還によって得られる値上がり益です。
 

債券は満期まで保有すれば、原則として額面で償還されますが、市場金利や発行体の信用状況などによって価格が変動するため、途中で売却する場合のキャピタルゲインは保証されません。

一方、債券価格が変動しても、発行体が債務不履行に陥らない限り、原則として利息の支払い条件は変わりません。そのため、インカムゲインは購入時点で見通しを立てやすく、長く保有するほど累積していきます。
 

どちらも重要な収益源といえますが、特に長期の資産形成では、継続的に得られるインカムゲインが、債券のリターンを支える基盤となります。

 

過去のデータから見る「インカムゲイン」が支える債券の長期リターン
 

インカムゲインが債券の長期的なトータルリターンにどのように寄与してきたのか、過去のデータを見てみましょう。
 

下の図は、過去30年の「米国ハイイールド債券インデックス」の累積リターンを、インカムゲインとキャピタルゲインに分解したものです。

ハイイールド債券とは、一般に信用格付けが相対的に低く、その分、利回りが高い傾向にある債券を指します。
 

このデータは債券市場全体を示すものではありませんが、インカムゲインの積み上げが長期的なリターンを支えてきた一例として参考になります。

long term benefit

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
2025年12月末時点
出所:ブルームバーグ

トータルリターン(利息収益と価格変動の合計を示す青色の線)の軌跡の大部分が、灰色で示されたインカムゲインによって形成されていることがわかります。
 

30年にわたって積み上がったインカムゲインは、累積で約660%に達しています。
 

これに対して、薄い青色の価格変動部分は、2008年の金融危機や2020年のコロナショック、2022年以降の金利上昇局面などで大きくマイナスになりました。2025年12月時点でも、価格変動部分は約マイナス70%です。
 

それでも、青色で示されたトータルリターンは、2025年12月時点で約590%となっています。価格下落によるマイナスを、長期にわたって積み上がったインカムゲインが補ってきたためです。

このデータから、少なくとも過去30年間の米国ハイイールド債券では、長期リターンが価格上昇ではなく、主にインカムゲインの蓄積によって形成されてきたことがわかります。

では、インカムゲインの積み上げは、長期運用においてどのような効果をもたらすのでしょうか。
 

長期保有で高まるインカムゲインの「積み上げ効果」とそのメリット
 

インカムゲインは、受け取って終わりではありません。受け取った利息を再投資することで、その利息からも新たな収益を得ることが期待できます。
 

再投資によって期待できる複利効果
 

複利とは、運用で得た収益を元本に加えて再投資し、その合計額から新たな収益を得る仕組みです。

前述の図で、インカムゲインが直線ではなく上向きのカーブを描いているのは、再投資による複利効果が反映されているためです。運用期間が長くなるほど、短期的な市場変動の影響がならされ、その効果が発揮されやすくなります。

 

金利の先行きを当て続ける必要がない
 

債券を長期保有すれば、金利や債券価格の短期的な動きを予測して売買しなくても、利息を継続的に受け取れます。

さらに、受け取った利息を再投資することで、インカムゲインを積み上げることができます。金利の先行きを正確に予測できなくても、保有と再投資を続けることで複利効果の恩恵を期待できるのです。

 

債券ファンドなら再投資の手間を抑えられる
 

個別債券では、半年ごとなどに受け取る利息を、その都度自分で別の債券などに再投資する必要があります。利息が少額の場合は購入できる商品が限られ、資金を効率よく再投資できないこともあります。

一方、債券ファンドでは、投資先の債券から得た利息などをファンド内でまとめて運用するため、投資家自身が再投資先を選ぶ手間を抑えられます。

ただし、分配金を受け取るタイプでは、分配金を再投資しなければ複利効果が弱まる点に注意が必要です。

 

債券は「長期的」な資産形成を支える重要な存在
 

債券はまた、一般に株式とは異なる値動きをする傾向があります。そのため、株式などと組み合わせることで、資産全体の値動きを抑える効果も期待できます。

 

人生100年時代を迎え、資産形成はますます長期戦となっています。その中で、インカムゲインという「着実に積み上がる収益源」は、資産の安定性を高めるうえで欠かせない存在です。不確実性が高まる時代だからこそ、債券の役割を理解することは、長期的な資産形成を考えるうえで重要な視点となるでしょう。