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バフェットが世界一の富豪になれた最大の理由

投資の世界で最も有名な人物の一人、ウォーレン・バフェット。1965年に米国企業バークシャー・ハザウェイの経営権を取得して以来、約60年にわたり株式投資を中心に資産を築き、世界長者番付で1位に輝くなど投資家として輝かしい実績を残してきました。そして2025年5月、94歳のバフェットは年末で最高経営責任者(CEO)からの退任を表明しました。この「世界一の投資家」は、キャリアを通じてどのように富を築いてきたのでしょうか。卓越した投資手法による高いリターンももちろん要因の一つですが、バフェットが世界一の富豪になれた最大の理由は、「長期にわたって投資を続けた」ことにあります。


バフェットがバークシャー・ハザウェイの経営を始めてからの同社株の年平均リターン(1965年から2024年まで)は約20%。同期間のS&P500種株価指数(配当込み)の約10%と比べて、倍の水準です。確かに優れた数字ですが、実は投資界にはこれを上回る成績を残している人物も存在します。代表的なのが、ルネッサンス・テクノロジーズを率いた数学者ジム・シモンズです。運用するメダリオン・ファンドは、手数料控除後で年率約40%(1988年から2023年まで)という驚異的なリターンを長年にわたり記録してきました。


リターンだけを見れば、バフェットを凌駕する投資家は存在します。しかし、それでもバフェットが世界一の投資家として名を残すことができたのは、複利の力を何十年という長い時間をかけて最大限に活かしたからです。複利とは、得た利益を再投資することで、雪だるま式に資産が増えていく仕組み。この効果は「時間」が長ければ長いほど強力になります。


実際、バフェットの資産の大半は50代以降に急激に増加しました。バフェットが成功した最大の理由は、投資を何十年も続けられたことにあります。市場の騒音に惑わされることなく、信じた原則に従って淡々と資産を積み上げてきたのです。


この投資スタンスは、現代の個人投資家にも大きな示唆を与えます。多くの人は「時間の力」を軽視しがちです。市場の変動に一喜一憂し、感情的な売買を繰り返すことで、複利の恩恵を受ける前に投資を止めてしまうケースも少なくありません。


どの投資手法を選ぶか以上に重要なのは、長期的な視点を持ち、継続することです。投資は一攫千金を狙うものではなく、人生を通じて資産を育てていく営みです。バフェットのように「時間を味方につける」ことで、誰もが複利の力を活かすことができます。


バフェットは引退を表明しましたが、その投資スタンスは今後も普遍的な価値を持ち続けるでしょう。私たちも、バフェットのように長く、深く、信念を持って投資を続けることで、よりゆたかな未来に近づいていけるのではないでしょうか。