近年の債券市場では、「米国例外主義*[1]」に基づいて、米ドル建て資産や米国のクレジット資産への依存が強まっています。これまでは、堅調な米国景気、クレジットスプレッドの縮小、米ドル高といった要因が、世界の金融市場をけん引してきました。しかし、その結果として米国資産への過度の集中が進み、分散効果が損なわれるおそれがあります。
こうした背景から、現地通貨建てエマージング債券 (EMLCD) は、米国市場とは異なるリターンの源泉を持つ資産クラスとして注目されます。EMLCDは、各国の金融政策や通貨の動きに連動し、米国の金融政策や景気サイクルの影響を受けにくいという特徴があります。
本稿では、新たな分散と収益の源泉としてのEMLCDの特徴と、それを活用してポートフォリオを安定させる方法について紹介します。