新しい年を迎えるときは、期待と不安が入り混じった気持ちになるものです。AI分野の急速な進歩により、目の前に広がる投資機会への期待が高まる一方で、同じAI関連銘柄によって押し上げられた株価水準には割高感があり、不安を感じることもあります。こうした状況は、2026年以降に予想される課題を示唆しています。
このような投資環境では、「バランス」がキーワードになると考えています。今後は、AI・テクノロジー偏重の市場から、幅広い地域・セクター・資産クラスにわたるバランスの取れた投資機会へとシフトすることが重要と考えられます。具体的には、米国と米国外、グロースとバリュー、株式と債券、景気循環的要因と構造的トレンドの両方に分散することが求められます。
債券市場では、株式よりも低いボラティリティで安定したリターンが得られています。高バリュエーションのテクノロジー株に不安を感じる投資家にとって、債券はポートフォリオの安定性を高める有力な選択肢です。
米国外株式の復調は、市場の裾野が広がっていることを意味しています。S&P500指数が2025年1~11月に約18%上昇したのに対し、日本は24%、欧州と新興国はいずれも30%の上昇を記録しました。米国外でこれほど持続的な上昇が見られるのは久しぶりで、分散投資の重要性を改めて示しています。
米国市場でも、最近は「マグニフィセント・セブン」だけでなく、より幅広い企業群がリターンをけん引しています。今や投資機会とリスクは世界中に広がっています。
本稿では、貿易や関税の不確実性、高水準の株価バリュエーション、企業業績の見通し、AIはバブルなのかといった議論など、市場を動かすテーマを取り上げます。債券市場では、インフレの高止まりや労働市場の軟化が金利にどう影響するかを検討します。
本稿の内容は、複合的なリサーチ、多様な視点の融合、長期的な視野を組み合わせた独自の運用プロセス「キャピタル・システム」に基づいています。