Capital IdeasTM

Investment insights from Capital Group

Categories
貿易
サプライチェーンの再編と再グローバル化
ノリコ・ チェン
株式ポートフォリオ・マネジャー
ベン・ リン
株式アナリスト
ケント・ チャン
株式インベストメント・ディレクター
KEY TAKEAWAYS
  • グローバルなサプライチェーンの再編は、「脱グローバル化」ではなく「再グローバル化」時代の始まりとなり、新たな投資機会を創出
  • 再グローバル化は、工業部品、自動化ツール、半導体製造装置および工業製品を供給する一部企業にとって重要な成長ドライバー
  • サプライチェーンの再構築には時間がかかり、短期的には利益率を圧迫する可能性があるが、抵抗力が高い企業や事業の分散を進めている企業のバリュエーションは長期的に上昇する可能性

新型コロナウイルスの感染拡大によって表面化したサプライチェーンの脆弱性は、依然として世界経済が直面している最大の課題の一つです。グローバル化の特徴のひとつに、先進国からコストの低い外国への生産移転が挙げられます。しかし現在では、企業は自社の供給ラインに冗長性を持たせる必要があることを認識しており、将来的には企業のみならず国や産業レベルでもさまざまな影響が出てくると考えられます。


この動きがグローバル化の後退につながるという見方もある一方、サプライチェーンが再編され、さらに多くの国が世界の貿易ネットワークに組み込まれる「再グローバル化 (re-globalisation) 」時代のきっかけとなる可能性もあります。


弊社グループの株式ポートフォリオ・マネジャーであるノリコ・チェンは「中華圏に製造拠点への依存度が高い企業の多くは、他国への拠点の分散を進めるでしょう。一部の国にとってこうした投資はポジティブとみられます。他方、一部の企業では収益性が犠牲になることも考えられます。しかし、世界のトレードパターンの変化から恩恵を受ける企業を見極められれば、新たな投資機会へとつながると考えます」と述べています。


世界貿易は減速するも、成長は継続

世界の財とサービス貿易額

2021年12月末現在。

出所:国際通貨基金、Refinitiv Datastream、キャピタル・グループ

サプライチェーンのシフトが進むが脱グローバル化には至っていない


多くの企業は、リスクを分散させるために生産を世界中の複数の拠点に移転しています。これは必ずしも、世界の経済的な結びつきが弱まることを意味するものではありません。例えば、半導体受託製造の世界大手で台湾を本拠地とするTSMC (台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング) は、生産能力の大半を地政学的な緊張の中心である台湾に集中させてきましたが、米国に初の生産拠点を建設中であるほか、日本でも新たな半導体工場を建設中です。


中国に大きなプレゼンスを有するマルチナショナル企業も、中国国外の消費者にリーチする将来の大きな機会を追求しています。中国で最も優れたサプライチェーンを築いた企業の一つであるアップルは、「iPhone」の生産の一部をインドへ移転しました。インドでは、2026年までにスマートフォンのユーザー数が10億人に達すると推定されています。


中国国外の顧客との貿易関係を強化しようという中国企業も現れています。中国の電気自動車 (EV) 向けバッテリーメーカーのCATLは先日、ドイツで建設中のバッテリーセル工場における生産認可を取得しました。完成後はドイツの大手自動車メーカー向けにバッテリーを供給予定です。



ノリコ・チェン 株式ポートフォリオ・マネジャー。キャピタル・グループ・マネジメント・コミッティのメンバー。経験年数31年。現職以前は株式アナリストとして、アジアのインフラ、建設資材・建設業、石油、ガス・精製企業を担当。グループ内のグローバル・リサーチ・チームのディレクターも務めた。入社以前は、香港のワールドセック・インターナショナルの企業ファイナンス・マネジャーに従事。

ベン・リン 株式アナリスト。アジアの機械、建設・土木、電気設備およびアジアの保険会社の調査を担当。経験年数17年。入社以前は、モルガン・スタンレーと野村證券において株式アナリストとして勤務。

ケント・チャン 株式インベストメント・ディレクター。経験年数30年。入社以前は、20年以上アジアを拠点とし、直近ではバークレイズにおいて中国語圏の株式リサーチ・ディレクターを務めた。それ以前は、シティグループにおいてグローバルのテクノロジー、アジアの消費財および小型株の調査を担当。


関連情報