ESG
キャピタル・グループのESG理念

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キーポイント
  • ESG課題の分析は、ファンダメンタルズ調査と一体化
  • セクター別のインベストメント・フレームワークを通じて、ESGを運用プロセスに体系的に統合
  • ESGへの注力によって優れた運用成果の実現を目指す

キャピタル・グループの信念


キャピタル・グループは、投資対象となる企業を深く理解することが優れた運用成果につながると長年にわたり強く信じてきました。これは、1931年の創業以来、キャピタルのDNAとして受け継いできた信念であり、運用や経営の基盤となってきました。キャピタルの取り組みの特徴は、投資先企業に対するエンゲージメントです。企業の経営陣と長期的な関係を構築し、長期的な運用成果につながる投資の視点を構築します。運用担当者の報酬体系は、こうしたプロセスに基づき、より長い期間の実績に比重を置く仕組みとなっています。


キャピタル・グループの調査体制は、企業を深く理解することを常に念頭に置きながら、時とともに拡大し、進化してきました。企業がコミュニティ、顧客、サプライヤー、従業員にどのような影響を与えるかを知ることは、投資のリスクと機会を理解する基礎になると長年にわたり強く信じてきました。将来を見据え、事業を持続的に成長させることができる企業に投資するよう努めています。私たちは経験と調査に基づき、企業によるESG(環境、社会、ガバナンス)の課題への積極的な取り組みは、持続可能性と戦略の両面でポジティブに作用し、最終的に企業の株価や成長性にプラスに反映されると考えています。


ESGを重視することは、お客様の資産の管理者としてのスチュワードシップ責任の基礎となるだけでなく、もう一つの重要事項である、キャピタル・グループ自らの経営と企業市民としての取り組みの支えとなっています。キャピタルは、所属するコミュニティや世界に対して責任を果たすことを重視し、「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」ことを使命としてきました。この使命を果たすためには、長期的に優れた運用成果を上げることが最も重要ですが、重要なのはそれだけではありません。運用担当者は、企業市民としての役割も担っています。ESGを運用プロセスに統合し、そのメリットをすべてのお客様に提供することを通じ、企業や世界の変化を促し、ESGに関する責任を果たしたいと考えています。


ESGに対するキャピタル・グループの取り組みをお客様や投資先企業に理解していただき、運用のプロセスや成果の透明性を向上させることを通じて、私たちのコミットメントの強さを示したいと考えています。


ESG分析プロセスの体系化に注力


キャピタル・グループの調査では、企業をより深く詳細に理解することを常に目指してきました。企業の社会・環境への姿勢や、ガバナンスへの取り組みを評価することは、調査において重要なプロセスの一つです。最近では、ESGの理念とプロセスを文書化し、体系化することに注力しています。


ESGインテグレーションの取り組みは、キャピタルが創業以来構築してきた運用アプローチに沿ったものです。直近の長期戦略においては、ESGを最優先事項に位置づけ、従来から進めてきたさまざまな取り組みを加速させています。ESGに対するキャピタルの理念の明確化、体系化を推進し、それを運用プロセスに統合することは、調査の成果を最大化し、最終的には投資成果の向上につながると信じています。また、投資家の皆様が重視する透明性の向上とデータ提供の充実にも取り組んでいきます。


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ESGへのアプローチ


 


ESGに関する課題を運用プロセスに体系的に統合するため、監督とガイダンスの機能を担うガバナンス体制を整えています。また、必要なデータ、プロセスの策定およびテクノロジーの導入に多大な投資を行っています。ESGの分析プロセスは、相互に関連する3つのフェーズ(インベストメント・フレームワーク、モニタリング・プロセス、エンゲージメントおよび議決権行使)で構成され、キャピタル独自の運用プロセスである「キャピタル・システム」に体系的に組み込まれています。


インベストメント・フレームワーク


第一に、投資アプローチの中核を成す徹底したファンダメンタルズ調査が、ESGのプロセスには欠かせません。アナリストは2020年、セクターごとにESGの最重要課題を特定し、30以上のインベストメント・フレームワークを構築しました。在籍期間が平均14年に上る経験豊富なアナリストが、このフレームワークを用いて、セクターごとにESGの最重要課題、ベストプラクティスや重要指標を特定し、分析します。この独自のインベストメント・フレームワークは、アナリストのほかESGチーム14名がのべ4,000時間をかけ策定しました。


モニタリング・プロセス


独自の調査と外部評価機関のデータを組み合わせ、ポートフォリオをモニタリングします。これらの外部評価やデータは、企業の経営方針、事業慣行、業績見通しに関する私たちの分析を補完するものです。こうした外部からの情報の多くは企業自らの開示に基づくもので、一般に未監査かつ過去のデータであり、重要度が異なるものが混在しているため、価値ある情報が含まれる一方で限界もあることを認識することが重要です。


内部の分析と外部のデータの両方が、独自の企業評価手法の基礎となっています。独自のインベストメント・フレームワークと詳細な調査によってESGの課題を特定し、保有銘柄を「Flagged」と「Flagged以外」に分類します。「Flagged」と分類された銘柄は、アナリストとポートフォリオ・マネジャーによるより詳細な調査とレビューの対象となります。重要なのは、保有銘柄のモニタリングと検証を継続的に行い、得られた知見や情報をシステムに蓄積することです。これによってさらに深く掘り下げた調査が可能となり、好循環が生まれます。


エンゲージメントおよび議決権行使


エンゲージメントは、ESGはもちろんのこと、アクティブ運用を行う上でも不可欠です。私たちは長期にわたって企業との対話を継続しており、アナリストの担当期間がCEOの在任期間を超えることもよくあります。企業は、ESGに対する私たちのコミットメントと知識の深さを認識し、エンゲージメントを概ね相互に有益なものと捉えています。特にESGは共通の関心分野であり、エンゲージメントは一方向の情報提供ではなく互いに学びを深める機会となっています。


キャピタル・グループは企業との建設的な対話を重視し、そうした対話を推進するためのフレームワークを構築しています。企業や経営陣から情報を得る方法を拡大することで、企業との関係の価値を最大化し、ESGの優先課題に対応することを目指します。2020年には、ポートフォリオ・マネジャーやアナリストによる企業経営陣との面談回数は2万回を超えました。また、17名のガバナンス・アンド・プロキシー・チーム(GAP)、14名のESGチームが、400以上の企業とESGに関するエンゲージメントを実施しました。


重要なのは、私たちのエンゲージメントは、企業に対し、単に形式上の評価基準を満たすように働きかけるのではなく、構造的あるいは戦略的に有意義な変化をもたらすことに注力している点です。


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ESGに関する透明性とレポーティングの重要性


強固なプロセスと行き届いたフレームワークは非常に重要ですが、お客様が求めているのは単なる約束や外から見えにくい社内プロセスではなく、明確で信頼できるESGへのアプローチと、わかりやすく直感的な手法であると考えています。特に、ポートフォリオや個々の保有銘柄の位置づけを主要なESG指標と比較可能な形で示すことが求められています。


キャピタル・グループでは、社内にESG担当部門を有し、内部のプロセスを熟知する専任の担当者が報告書の作成を行うため、お客様にとってより有意義な情報提供が可能です。


キャピタル・グループの投資判断が標準的な評価と異なる場合があります。多くの場合、外部評価機関によって問題点を指摘された企業に対して投資をするかの判断は、重要課題に対する私たちの評価次第です。たとえば、外部評価機関がマイナスに評価した課題について、キャピタルでは重視しないこともあります。また、外部評価機関の評価には表れていなくとも、キャピタルではESGへの取り組みが大幅に改善していると評価される企業もあります。


キャピタルのコミットメント


キャピタル・グループは、ESGを運用と経営に体系的に組み込むことに深くコミットしています。この取り組みには大規模な投資を実施しており、組織全体の社員を巻き込んで発展していくでしょう。独自の運用手法であるキャピタル・システムと同様、学びながら改善と革新を続けていきます。まだやるべきことは多いですが、将来にわたって改善していくことに期待しています。重要なのは、ESGへの取り組み強化は、お客様の資産の管理者としてのスチュワードシップ責任を重視してきた私たちの強みになるという点です。ESGインテグレーションは、お客様と私たち双方にとって、より良い結果をもたらすと信じています。


特に明記がない限り、すべてのデータは2020年12月現在のものです。


キャピタル・グループでは、株式に関しては、運用および議決権行使に係る投資判断を3つの株式運用部門が独立して行います。債券に関しては、グループを横断して債券運用部門が調査・運用を行いますが、株式に類する性質を持つ有価証券に関しては、3つの株式運用部門のいずれかに代わり、債券運用部門が調査・運用を行います。




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