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機関投資家の皆様へ
配当成長株の有効性
グラント・ ケンブリッジ
株式ポートフォリオ・マネジャー

株式市場では、インフレ懸念やマクロ経済への不確実性といった要素に注目が移り始めています。本稿では、弊社グループの株式ポートフォリオ・マネジャーであるグラント・ケンブリッジが、配当成長株をポートフォリオに組み入れる利点や在籍年数25年の経験を通して形成してきた投資アプローチについて語ります。


現環境下における高配当戦略への見解を教えてください


マクロ経済への不透明感が払拭されず、金融市場が混乱する中で、投資家は困難に直面しています。世界の経済成長は鈍化し、先進諸国のインフレ率の高止まりは予想以上に長期化する可能性が高く、金利の上昇により成長株は大幅に下落して弱気相場に突入しています。


こうした不透明感が漂う中でも株主配当を継続している企業に注目しています。企業の財務体質や株主配当政策については、これまでもさまざまな経済環境下で議論されてきました。減配や一株当たり配当金成長率の低下を回避する頑強さを持つ企業は、長期的な勝ち組となる可能性があります。


配当成長企業が独特の存在である理由


配当成長企業は長期的にみると他の配当企業よりもリターンが高く、ボラティリティが低いため、魅力的な投資先と考えています (下図) 。リスク・リターンの優位性は、より強固なファンダメンタルズ、健全なバランスシート、競争力のあるポジショニング、株主へのコミットメントを反映しています。今日、こうした企業の多くは過去最高水準の現金を積み上げており、将来の配当と配当成長を支える環境を形成しています。一部の企業は特別配当を実施する可能性もあります。例えば、CMEグループは長期にわたり、通常の増配に加え余剰現金を特別配当として株主に還元しています。ただし弊社グループの投資判断においては、こうした追加的なキャッシュフローが魅力的であったとしても、増配の有無を重視しています。


長期的で頑強な配当成長企業を見極めるには、単に配当利回りが高い企業に注目するだけでは足りず、包括的なファンダメンタル調査が重要となります。


長期的なトータルリターンをみると配当成長株は無配当銘柄を上回っている

The Persistence of dividend growers chart

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
1989年12月31日以降2021年12月31日現在。
米ドル建てトータルリターン。ユニバースとリターンは北米 (50%) 、欧州 (25%) 、日本 (10%) のMSCI IMI指数における上位1,000社と、新興国 (10%) および日本を除く太平洋 (5%) の上位500社の平均を使用。
配当成長企業は、直近12ヵ月の一株当たり配当が1年前よりも増加している企業。配当実施企業は、過去12ヵ月に配当を実施した企業。
出所:Compustat、Worldscope (FactSetを経由) 、MSCI、キャピタル・グループ

弊社グループの運用担当者は2021年に2万1千件を超える企業との面談を実施しました*1。こうした面談は、配当の支払いと成長に対する企業の長期的な能力やコミットメントを理解するうえで極めて重要です。企業との対話を通じて得られた見解は、配当の持続可能性を重視する定量分析を補完するもので、弊社グループの高配当戦略における銘柄選択に寄与しています。


自社株買いが増加する背景


増配しながら発行済み株式数を減少させている企業は、配当資源をより少ない株数に分配することにより、一株当たり配当金の成長が加速します 。私は増配と株式数減少という2つの要素 に注目し、キャッシュフローが減少する場合は増配継続のため自社株買いを縮小するような柔軟性を持ち合わせている企業を評価しています。


1. 出所:キャピタル・グループ (Stewardship report 2022)



グラント・ケンブリッジ    株式ポートフォリオ・マネジャー。経験年数29年。現職以前は株式アナリストとして、保険、航空、航空運輸、住宅建設、資産管理、ソフトウェア、中小型株を担当。入社以前は、BTMキャピタル (東京三菱銀行子会社、ボストン) に勤務。


過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資の価値および投資収益は減少することも増加することもあり、当初投資額の一部または全部を失うことがあります。本情報は投資、税務もしくはその他の助言の提供、または証券の売買の勧誘を意図するものではありません。

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