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利上げ局面で有効な債券運用戦略
華村 啓陽
インベストメント・ディレクター
キーポイント
  • 慎重にダウンサイド・プロテクションと株式からの分散を求める場合:投資適格社債は、市場でリスクオフが強まる際に安定性をもたらし、比較的高いインカム収入に基づき、相応のリターンを提供。「グローバル投資適格社債運用」では、リスクを大幅に増やすことなく、高いリターンを実現できる可能性
  • 投資期間が長い、あるいはリスク許容度が高い場合ハイイールド債券はデュレーションが短く、金利上昇によるマイナスの影響を軽減。インカム収入が大きく、長期的には株式に近いリターンを得られる可能性。「グローバル・ハイインカム債券運用」では、下振れリスクを抑えつつ、高いリターンを長期にわたって実現*[1]
  • 妥協したくない場合デュレーションと信用リスクを市況に応じて調整できるトータルリターン戦略では、ポートフォリオ・マネジャーが最も有望視する投資機会にリスク・バジェットを集中できる。「グローバル・トータルリターン債券運用」は、伝統的な債券運用と同様のディフェンシブ性と、より高いリターンを生み出す柔軟性とを兼ね備えたコア戦略

高まるインフレを抑制するため、主要中銀は金融引き締めに乗り出しました。利上げ局面にあっても、債券はプラスのリターンをもたらし、多くのメリットを提供し続けることができることが調査で示されています。本稿では、投資家ニーズのパターンに応じて、どのような債券運用戦略を組み入れるべきか、その選択肢について考察します。


主要中銀がインフレ抑制に取り組むなか、債券利回りにはすでに金融引き締めの影響が表れています。米国の10年物国債利回りはコロナ禍前の2019年後半の水準を大きく上回り、今後2~3年にわたる積極的な利上げを織り込んでいます。ユーロ圏では、ドイツの10年物国債利回りが3年ぶりにプラス圏に浮上しました。長年にわたって超低金利政策を続けている日本でも、日銀の目標利回りの上限を試すかのように10年物国債利回りが6年ぶりの高水準に達しました。新たな金利上昇サイクルはまだ始まったばかりで、市場のボラティリティがやや高まっています。しかし、現在の市場環境において債券は特に有効な投資対象であり、ポートフォリオに安定性をもたらすと考えられます。


利上げ局面における債券投資のメリットについては「利上げ局面における債券投資」をご覧ください。


グローバル投資適格社債運用


慎重にダウンサイド・プロテクションと株式からの分散を求める場合投資適格社債は一般に、長いデュレーション、高品質 (高格付け) 、高い流動性など、国債と共通する特徴を有しています。投資適格社債は、ソブリン債利回りの低下幅が信用スプレッドの拡大幅を上回ることが多いため、市場の混乱時、信用スプレッドが拡大するものの、利回りの低下がそれを上回ることが多く、ポートフォリオの安定に貢献します。加えて、利上げ局面では、ソブリン債より高水準のインカム収入によってキャピタルロスの影響を軽減します。これは、市場全体の利回り水準が低い場合、特にヘッジコストが上昇する可能性のある投資家にとって重要です。さらに、投資適格社債は、政策上の優先順位が比較的高い (米国では投資適格社債は国債、MBS (住宅ローン担保証券) に次ぐ) とみられ、量的緩和政策の恩恵を受けることができます。


「グローバル投資適格社債運用」は、リスクを大幅に高めることなく高い利回りを実現する可能性を提供します。多くの社債運用戦略とは異なり、当運用では、ハイイールド債への投資は意図せざるリスクを取得する可能性を考慮し許容していません。当運用では、不確実性の高いマクロ経済の動きに依存するのではなく、銘柄ごと、あるいは産業ごとの投資判断を積み重ねることで超過収益を獲得することに注力しています。投資適格社債の多様な特性を生かすために、担当セクターを熟知するアナリストのみによって銘柄選択がなされるため、アナリストの確信度の高い投資アイデアを直接反映しつつ、分散投資を実現することができます。


このアプローチを取ることで、グローバル投資適格社債運用は、インデックスを年率1%以上上回る高リターンを実現しています (運用報酬等費用控除前) *2。当運用では、リスクを投資適格社債と同程度に抑えながら、ハイイールド債券に近いリターン特性を実現しています。結果として、流動性や株式からの分散といった高格付け債券が持つメリットを享受しながら、高いリターンを達成することができています。


*1. グローバル・ハイインカム債券運用代表口座 (運用報酬等控除前) 出所:キャピタル・グループ。2021年12月末現在の過去10年間の平均リターンは7.1%。4ページの表も参照。 


*2. 2022年2月末現在。インデックスはBloomberg Global Aggregate Corporate Index hedged to USD。



華村 啓陽 インベストメント・ディレクター。債券運用戦略を担当。経験年数14年。入社以前は、ブラックロックの債券プロダクトストラテジストを務める。


過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資の価値および投資収益は減少することも増加することもあり、当初投資額の一部または全部を失うことがあります。本情報は投資、税務もしくはその他の助言の提供、または証券の売買の勧誘を意図するものではありません。

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