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日本のコーポレートガバナンスの展望: 着実に進む改革と建設的なエンゲージメント
郡司 東彦 ハリー
株式アナリスト
KEY TAKEAWAYS
  • 日本のコーポレートガバナンス改革は順調に進んでおり、企業の経営陣はガバナンス改革の意義を実感し始めている
  • 企業価値創出が必ずしも経営の最優先課題ではない日本において、長期にわたるエンゲージメント活動を成功させるには、日本のコーポレートガバナンスに関する歴史的な背景を深く理解することが重要
  • ガバナンス改革の進捗度合いは企業によって異なるため、株主価値を継続的に創出する企業を発掘・投資するには、ボトムアップ (個別企業対応) 型のアクティブ運用が有効

改訂コーポレートガバナンス・コードが2021年6月に公表・施行され、日本で長年にわたり取り組まれているガバナンス改革が勢いを増しています。本稿では、キャピタル・グループの株式アナリストである郡司東彦ハリーが、日本企業のコーポレートガバナンス改革の重要性と、改革の進展にともなう投資機会の発掘やボトムアップ (個別企業対応) 型アプローチの重要性について解説します。


日本企業のガバナンス体制に関連する不祥事が注目を集めています。投資家の中には日本のコーポレートガバナンス改革の進捗を疑問視する声もありますが、現状をどのように捉えていますか 日本企業では、利益創出よりも国策や公共サービスを優先させる場面が多々見られます。これらの企業は、歴史的には銀行、重工業、商社といった業種に多く見られます。利益や株主価値を優先しないという考え方は日本ではそれ程驚かれませんが、海外投資家は理解に苦しむかもしれません。


企業が地域や社会への貢献を目指すという姿勢は、決して悪いことではありません。しかし、その為に利益を犠牲にしたり、非効率的な資本政策を取る企業は、長期の投資先として魅力がないことがほとんどであり、弊社グループではそのような企業への投資を避ける傾向にあります。大企業を含めてこのような企業を特定するには、徹底した個別企業調査を通じた企業文化への理解が不可欠となります。


弊社グループでは、日本政府が日本の企業文化の問題点を理解した上で、コーポレートガバナンスの重要性を認識しかつ改革を促進している点を高く評価しています。日本社会は人口減少、少子高齢化という構造的な問題を抱えているため、労働人口の減少が見込まれる中で生産性を高めるには、資本効率の改善は必須であると考えています。



郡司 東彦 ハリー (ぐんじ・はるひこ)  株式アナリストとして、北米以外のグローバルの化学産業及び日本の建設・不動産等6 つの産業を担当。また、グループ全体の議決権行使ガイドライン委員会の委員や投資運用部のESGチャンピオンを務める。経験年数22 年。入社以前は、フィデリティ投信の日本株アナリスト、ニューヨークと香港の投資ファンドでグローバル株アナリスト、及び欧米の投資銀行で債券や投資銀行業務に従事。