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FRBの政策変更、短期間でのインフレ率上昇の可能性は低い
ダレル・ スペンス
マクロエコノミスト
キーポイント
  • FRB はインフレ率が目標の 2%を超えても「しばらくの間」容認する政策に転換
  • 歴史的な政策変更だが米国のインフレ率が短期間で上昇する可能性は低い 
  • 感染症拡大を受けて景気刺激策が実施されたにもかかわらず、国の主なインフレ 指標は物価上昇を示唆していない

FRB (米連邦準備制度理事会) のジェローム・パウエル議長は 8 月 27 日、FRB が「平均インフレ目標」政策を採用したと発表しました。これは、過去数十年にわたってFRB が指針としてきた政策金利の設定方法を大きく変えるものです。すなわち、インフレ率が 2%に満たない期間が続いた場合、FRB はその後しばらくの期間は2%を上回るインフレ率を目指すことを意味し、実質的にインフレ率の上振れを容認することになります。


パウエル議長はジャクソンホール会議*1 において、「インフレ率が 2%を下回る期間の後は、当面は 2%をやや上回るインフレ率を目指すことが適切」と述べました。


この政策変更は、家計や企業によるインフレ期待の下支えを目指すものですが、 CPI (消費者物価指数) の大幅な上昇につながるのでしょうか。答えは「ノー」か、少なくとも「まだ」である公算が大きいものの、資産インフレの可能性はないわけではありません。米国では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大規模な金融緩和・財政刺激策が実施されたにもかかわらず、主なインフレ指標からは今後数四半期でインフレ率の大幅上昇につながるような動きは見て取れません。


歴史的に見ても、長期にわたる高インフレは例外的な事例でしかありません。


米国では高インフレの長期化は一般的でない

消費者物価指数 (CPI) 上昇率 (%)

2019 年現在の年次データ

出所:Global Financial Data、米労働統計局、キャピタル・グループ

*1 ジャクソンホールで毎年開かれているカンザスシティ連邦準備銀行主催の経済政策シンポジウム


ダレル・スペンス マクロエコノミスト。経験年数28年。オクシデンタル大学で経済学の学士号を取得。Phi Beta KappaおよびOmicron Delta Epsilonのメンバー。CFA協会認定証券アナリスト。全米企業エコノミスト協会メンバー。